井上円了は、東洋大学の創立者で仏教哲学者、教育家です。
『能州巡回報告演説』 (明治33年9月出版)
能州巡回中の七不思議
(二)小木法融寺の蘭弗[ランプ](題して「不許蘭弗入山門」)
(寺院の禁制は「不許葷酒入山門」(葷酒山門に入るを許さず・・・臭いにおいのする野菜と、酒は、修行の妨げになるので、寺の中に持ち込んではならないということ。)を常とす。しかるに、法融寺は真宗なれば、葷酒の山門に入るを許す。その代わりに「不許蘭弗入山門」(ランプ山門に入るを許さず)の禁制ありて、山内一個のランプなし。これけだし、失火を恐るる故ならん)
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(四)馬渡浄楽寺の山門(浄楽寺山門なし。住職曰く、寺をへだつること数丁、本村に入る所、巨石深淵左右相対するの天険あり、これを浄楽寺の山門となすと。余曰く、浄楽寺は山門なきをもって山門となす。禅宗の無門関に似たり、よろしく法融寺の蘭弗と好対の奇となすべし。)
民家の屋根の上の鳥は・・・何サギでしょう。哲学者のようです。 |
井上円了は、眞宗大谷派寺院、淨楽寺と法融寺の山門の好対照を語っています。
山内一個のランプなし・・・坂を登って辿り着く高台の寺には、失火はなによりも怖いものだったのでしょう。
寺の歴史を紐解きながら、当時の地域が見えてくるようでした。
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