2015年3月31日火曜日

一献の系譜

日曜日の朝刊で、『一献の系譜』と云うドキュメント映画の完成上映会が輪島と珠洲で行われ、今日の10時からと14時から当地で上映されると記載されていました。
映画は、能登杜氏の姿を追ったドキュメンタリーです。
能登の風景や酒蔵の映像がとても美しい映画です。
挨拶するのは、能登を舞台にした映画『ひとにぎりの塩』を制作した監督の石井かおりさん。
たくさんの方々に映画を見てもらうことで、県外でも上映される機会を作り、広く能登を知ってもらえればと・・・熱く語られました 。
高いところからすみませんと・・・会場も能登です。
同じ新聞で、県外での能登の認知度について掲載されていました。地元の期待に反して、首都圏や大都会圏では、能登を知らない人が大多数です。能登の風土が醸し出すお酒を口にする機会はあっても、能登は遠い異国のような存在でしょう。 
過疎の進む能登の地で、県内や県外で、能登の蔵人たちは、極上の酒を作りあげる為に励んできました。
映画の制作とともに能登でさまざまな体験をし、能登を好きになってくれる「呑みトモ」を増やすプロジェクトも同時進行されたそうで、そのページには、能登の酒の特徴を
「芳醇旨口(ホウジュンウマクチ)」と呼ばれる能登の酒は米のうまみを残しつつ、後味が良く、次の一口を呑みたくなる。
と紹介されています。
梅干し用の梅の木、花が満開です。
梅が咲いて、やがて桜が開花する頃、能登にも春がやってきます。
進行の方が、「映画を見たら、お酒が飲みたくなります。」と話されていました。
梅を眺めながら、白藤酒造の白菊が思い出されました。


2015年3月30日月曜日

椿の岬遊歩道と雪割草 2

能登の花を観察する二日間のトレッキング。濱谷さんから、きれいな雪割草の画像が届きました。
おしべがピンクのお洒落な雪割草
覆輪のようにピンク色で縁取られた雪割草
純白とピンクが並んで・・・
行者ニンニクの群生の中に、満開の雪割草
皆月集落から登るコース沿いに比べて、深見地区の群生地には、ピンク系統の雪割草が多いそうです。
薄いピンクや濃いピンク、覆輪気味のピンクの花の中に白い雪割草が群生しています。おしべの色もさまざまで、こちらを見て!と言っているようです。
木々の樹形が物語る奥能登外浦の強風に耐える小さな可憐な植物は、地元の人々の努力の賜物。
ずっと大切にしたい能登の自然がありました。
  撮影 T.Hamatani





2015年3月27日金曜日

椿の岬遊歩道と雪割草 1

植物おもしろ探検 能登の植物観察。
初めての奥能登での植物観察は、猿山岬の雪割草と岬遊歩道の椿を楽しみました。
1日目は、雪割草です。白山麓や金沢から遠く離れた門前町の深見地区の登山口に11時に集合の予定が、全員早めの到着。10時45分には、駐車場から出発です。
環境保全協力金を払って(任意です)猿山のマップをいただきました。
長崎出身の受付担当のおじさん、花は満開ですよと話してくれました。
海からの強い風で不思議な形となった欅の木の下で
ピントがずれてますが、ピンクの濃淡の綺麗な雪割草。
濃いピンクが一際鮮やかです。
随分前に訪れた時に比べて花が少なくなっていること、盗掘があるので補充してることをメンバーの方々から聞きました。下見の時には、目だたなかった行者ニンニクが雪割草に負けじと葉を広げて群生しています。時には風に乗ってニンニクの香りが漂うとか・・・。
キクザキイチゲ
オウレンやキクザキイチゲ、エンレイソウ、キジムシロ、ネコノメソウ、アオイスミレ、タチツボスミレなど早春の花々が彩る道。予定していた猿山灯台へは辿り着けませんでしたが、満開の雪割草の美しさを満喫して、来た道を下りました。
眼下に家々の黒瓦が日に光り、外浦の海が青く広がっていました。

2015年3月22日日曜日

美川を歩く

全国発酵食サミットin白山にでかけました。
クサヤや鮒すしなどを美味しそうに食べる小泉武夫さんの講演が主目的。松任駅からJRで2駅目、美川で降車。車両のドアの開閉や切符売り場等々、初めて電車に乗るような感じです。美川駅の構内には、折から開催されていた「ふくさげ祭り」の吊るし飾りがいたる処に飾られていました。
可愛らしい子供の飾り
駅を出て、きょろきょろと歩いているとすかさずガイドの人が声をかけてくれます。
ガイドの方の案内で、昔からの商家の並ぶ通りを歩きました。
「四十物」と書いて、「あいもの」と読むそうです。
鮮魚や乾魚との中間の意味で、干魚など塩で処理した海産物の総称
あいもの屋の看板のある軒先には、カレイなどが干されていました。
大正浪漫館の吊るし飾り
ふくさげ祭りの会場を後にして、発酵食品を求める事の出来る会場へ向かいました。
大好きな鯖のなれずしは、朽木のモノのや昔、取り寄せていた小浜の田烏のモノなど販売されています。寒冷地で作られている「いずし」も鰰の他にキンキのものがありました。能登で作られている鰺のすす(すし)や鰰のすしと比べてみるために、鰰のいずしとなれずしを求めました。
会場前
会場内で、お抹茶の接待
発酵シンポジウムの会場でお抹茶の接待をいただきました。
開場に向けての行列が延びるのを横目にしながらも、美味しい酒饅頭とお抹茶で、ほっこりとしたひとときを楽しむことが出来ました。
パネルディスカッションの様子
早々に席の埋まった一般席に対して、会が始まる直前になっても空席の目立つ関係者席・・・。
舞台上のパネリスト達が、真摯に現状を話す模様とかけ離れたこちら側を目にし、違うよねと話したのでした。誰に向けてのシンポジウムなのでしょう。

小泉武夫さんのお話は、『発酵の可能性 ~発酵で地域の活性化と6次産業化の実践~』
日本各地で行われている現在進行形の実践例が紹介されました。上手く行くことばかりではないけれど、ぴかぴかと艶やかなお顔を拝して、’なるほど発酵食!’ と魅力を再確認です。
味噌に醤油にお酒はもちろん、知人からもらった塩麹や冷蔵庫にある自家製の塩麹から始めましょう。
                       

                               

2015年3月13日金曜日

お寺探訪 四

先日、木ノ浦のコースを下見に出かけました。『あまめはぎ』で有名な秋吉の集落を過ぎて、田圃の中の道を進み、工事中の信号待ちをしていた時のこと。何気なく、右手に目をやるとお堂のようなモノが見えます。六地蔵かなと思っていたら、それ以外の石仏も安置してあります。おまけに地蔵がいろんな姿をしています。下見が・・・と迷った後で、車を右手の道に進めました。すると前方に椿の大木が道路を挟んで二本あります。
幹周りの太さにびっくり。
下見に行く木ノ浦の椿との偶然を感じてしまいました。
六体の地蔵と六体の観音像が安置されている大門地蔵堂
お堂の額には、夫婦と思われる寄進者の名前が書かれていました。
階段横の石に弥勒院と刻まれています。
横の説明看板に目をやると、旧内浦町文化財の梵鐘だと記載されています。
庭を掃除されていた奥様に、椿の樹齢を伺いました。奥様が声をかけられ出てこられた住職さんと椿の樹齢や宮崎寒雉作の梵鐘の事などを伺っている内に、寺内に案内してもらうことになりました。
本堂の本尊の後ろで、立ち並ぶ古い位牌や木像、梵鐘作りに尽力した木喰上人(有名な上人と同じ名前ですが、村の人)が即身成仏となられた話や寺の由来などを伺いました。
寺前の椿のある道は、拡幅工事が行われ、その工事中にたくさんの珠洲焼きの骨壺が出たそうです。珠洲焼きの骨壺が出たと言うだけで、長い寺の由緒が感じられました。
本堂のいろいろな仏具や軸の話も伺い、気づいたら1時間。何度もお礼を言って寺をあとにしました。
木ノ浦のコース確認が心配でしたが、とっても面白い時間をいただきました。

話の中で、以前、石川県立歴史博物館で開催された「若山荘を歩く」「能登 仏像紀行」のいずれかで紹介されているようでした。家に戻り調べてみました。
医王山弥勒院は、天正2年(1574)に矢波の弥勒寺住職が入寺して再興し、天台から真言に改めたといいます。 江戸時代、鎮守五社権現の他、宮犬地内の神社(現在、八王子神社に合祀)を支配していました。
今回、拝観した木像弥勒菩薩座像は、ぽこっとはずすと「弥勒菩薩 若山荘」と記してありました。
図録には、室町時代の木像とありました。

古い由緒ある寺を維持するには、集落の人口の減少もあり、とても難しい時代となったことは、話を伺いながら感じられました。文化遺産は、有形のものだけではなく、語られていく無形のものにも存在します。「文化はお金にならない」と云う言葉を耳にした事もありましたが、無くなってしまわないうちに保存していく事が、未来への義務なのではないかと感じました。そして、その存在の意味を広く地域に発信していくことも・・・
財政難の小さな自治体の文化行政のあり方が試されているのではないでしょうか。
そんな事を感じた出会いでした。


2015年3月8日日曜日

ミツバチの家

月末お世話になる木ノ浦ビレッジでは、椿の実を搾るワークショップを行っています。
椿の実は、秋にまん丸い殻が開いて地面に落ちているのがほとんどで、この季節にはないのですが、ちょっと探しにでかけました。
今日一番の藪椿  隣同士でも色まで違う位個体差があります。
椿の種探しで、足元ばかり見ていたら、ブンブンと音がします。
見上げたコンクリートの電柱の穴に、ミツバチが・・・。黒っぽいのは、ニホンミツバチだそうで、木の洞や地中に巣を作るとの事ですが、何と! 電柱に開けられた何の穴かこちらと上部の小さな穴に何匹も出たり入ったりしています。中には、花粉を運んでいるモノも・・・
カメラを構える耳元に、ブンブンと羽音がうるさい位。
 
走り出した車の中に、黄色い花粉色になったハチが一匹、紛れ込んでいました。
窓を開けると即座に飛び立ちました。

「ミツバチは大所帯で、ジバチじゃないから電柱の小さな穴に巣をすることは無理でしょう。
我々には来年が有るかも知れないけれど、ミツバチ(今年の個体)には来年はありませんから一生懸命です。」 
源八山荘主の言葉では、ここで巣作りをするのは不可能となります。
それでも今を一生懸命。
6日は啓蟄。耳元に残る羽音が、春を運んできました。



2015年3月4日水曜日

おとりこしさま

今日は、『おとりこしさま』がありました。
『おとりこし』とは、
浄土真宗の門徒が、親鸞の忌日である11月28日に行われる親鸞忌を繰り上げ、陰暦10月に各自の家で行う報恩講。
とあります。我が家では毎年、春三月に『ときはじめ』と一緒に行われます。
今年は、お供物のお餅も自家製で、準備万端。
「先ずは、『ときはじめ』から始めさせてもらいます。」との御院主さまの言葉で始まりました。
『ときはじめ』とは、
在家(門徒さん宅)での最初のお参りー最初の月命日のお参りを「斎初め(ときはじめ)」という。
と西山郷史先生のブログに記載されています。
白い蝋燭を立ててお経を上げ終了すると、次は(御取越)赤い蝋燭に替えてお経が上がります。その後、御文様を詠み上げて終わりました。

毎年、在宅の折りには、漠然とお茶などを出していただけの『御取越さま』。
昔は料理当番があり、母が手作りの精進料理で御院主さまをもてなしていた記憶があります。
季節毎のお寺の行事が今日から始まるのでしょう。

先日いただいたお寺の由緒や太子講などのお話を伺って、今年の御取越さまが終わりました。