2014年8月23日土曜日

ミニ焼畑

先日、宮崎県椎葉村の焼畑の模様をテレビで映していました。小松の伊藤常次郎さんの映像のように、作業の前にいろいろな儀式が行われていました。
そんな昨日、白山麓から”ミニ焼畑”の様子が届きました。
3m四方ほどの小さな焼畑。椎葉村に比べれば緩やかな斜面ですが、それでも結構急です。
木が良く燃えたとあって灰がたくさん出来ていました。
木が燃えて、白い灰がたくさん出来ています。

1人焼畑は疲れたとの事で、続きの作業は翌早朝、行われました。空の雲は、すっかり秋色です。

昨日、焼いた斜面を耕して、大根の種が播かれました。                         

大根は三日で発芽します。
ナナギ大根は、施肥も消毒もしません。
とても美味しい大根です。
おろしが一番だと、山の人達は口をそろえます。

1人焼畑の源八山。
大根の収穫が終わると白山麓にも本格的な冬がやってきます。


28日、発芽した大根を撮影しました。



2014年8月19日火曜日

赤谷の甌穴

藍の生葉染めが終わり、雨が上がった頃、赤谷の甌穴見学に出かけました。
車道を10分ほど走り、釜の谷と云う場所で車は停まりました。左手は、赤谷川。そのあたりを眺めていたら、目指す甌穴は、右手山側にあると云います。急登を歩き、小さな谷沿いに少し行くと、水の流れが見えてきました。山の中に小型のウォータースライダーを設置したみたいになっています。

その中に、直径1mほどのくりぬいたような穴が見えました。
小さな穴のようですが、深さは、2m以上はあるそうです。

赤岩砂岩が小さな谷を形作り、長い長い歳月をかけて、不思議な形の穴を作り上げました。穴から流れ出た下方に、底に溜まっていたであろう石がたくさんありました。


珍しい来訪者たちの物音に、傍らにいたナガレタゴカエルは、こそこそと草の中へ移動。
上手に隠れたつもりでも、すっかり姿が見えています。

所々にあった小っちゃな穴は、少しずつ、少しずつ、水と石の力で大きくなっていくのでしょう。
静かな山の中の不思議な地形。
標高540mの小さな谷沿いに、悠久の時が流れてました。


甌穴(おうけつ) 
川底の岩盤などに掘られた円筒形の穴。岩盤のくぼみに入った小石が流れで回転して岩石を削ってできる。かめあな。ポット-ホール。

2014年8月16日土曜日

白山の花たち  その3

お盆も過ぎて、山は、少しずつ花も替わり始め、秋の花が姿を見せている頃でしょうか。
一月前、7月中旬の白山の花をご紹介しましょう。

その3 白山を代表するユリ科の植物と・・・

クロユリ
イワギキョウ
キヌガサソウ
ミネズオウ
ニッコウキスゲ
シモツケ

雨風の中、霧の中、短い夏を惜しむように花々が咲いていました。
何度歩いても、何枚撮影しても、又、私たちに感動を与えてくれます。
晴れの日は勿論、雨でも曇りでも・・・人々を魅了し続ける白山の可憐な花々と豊かな自然。
この素晴らしい自然、ずっと、ずっと先へもと。そして、来年も又、会えますように!


撮影 T.Hamatani


2014年8月7日木曜日

夏の染め

毎夏、恒例の藍の生葉染めを楽しみました。
長く栽培しているのは、白峰に昔からあった椿葉(丸葉)の藍です。
肉厚で大きな葉を砕いて搾り、染め液を作ります。
今年の藍も丹精込めて栽培され、とても力強く成長していました。
しかし、残念だったのはお天気でした。
染め上がった布は、早く乾かす事で澄んだ水色になります。
曇ったり、雨になったりと芳しくないお天気の下、ちょっぴりくすんだ色味となってしまいました。
翌日は、オバル染めです。
前日から剥いだ樹皮を水に浸し少し煮出したものと、水に浸したモノ2種類の染め液を作りました。
絹のスカーフと福井の末廣さんからいただいた木綿の布を染めました。
無媒染で、クリアな赤みがかったクリーム色と黄みがかったクリーム色に染まりました。
天気や生育状況で、染め色が微妙に異なる藍の生葉染めと
染液の出し方でわずかに違う色に染まるオバル染め。

草木の力に感動した久しぶりの染めは、豊かな自然に遊んだ時間でした。


オバル・・・ミヤマカワラハンノキやヤマハンノキのこと。

石川県立白山ろく民俗資料館でのオバル染め体験では、主に葉を使っておられるようです。

2014年8月5日火曜日

豊かな暮らし

豊かな暮らしって何だろうと考える事があります。
経済第一、お金や物が第一・・・それだけでしょうか。

山の斜面の木を伐採し焼いて、ヒエ、アワなどの雑穀や大根、蕪などを栽培する焼畑。
かつては、日本全国の平らな土地のないところで行われてきた農耕です。
白山麓でも、谷筋の急斜面に耕作地を求めて、古くから焼畑が行われて来ました。
化学肥料などを一切使わず、木が燃えて出来た灰が肥料となります。
今年も夏のナナギ(菜薙)に向けての準備が始まりました。

焼き畑の傍を流れる下田原川の清流

連日、30℃を超える猛暑の中、豊かな夏の時間が過ぎていきます。
甘くて美味しいナナギ大根の収穫を迎える頃、山に初雪がやって来ます。

川のせせらぎも、木々の緑も、水面を渡る風も去年と同じ、白山麓の美しい夏です。

2014年8月2日土曜日

白山の花たち  その2

厳しい自然の中で、可憐に花を付ける白山の植物たち。今回は、ひときわ華やかなラン科の植物です。

その2 ラン科の植物たち


クモキリソウ
ノビネチドリ
ガッサンチドリ

テガタチドリ
ウズラバハクサンチドリ

ラン科の植物は、単子葉植物では最も進化したものと考えられ、世界に約450属あるそうです。
(原色日本植物図鑑より) 
登山道沿いでも目を引くモノが多く、出逢った時は、感激の瞬間です。


撮影 T.Hamatani

オオヤマサギソウ
登山道沿いで見かけたオオヤマサギソウ。その後、何度も白山を歩きましたが、見つける事が出来ませんでした。登山者の疲れを癒やしてくれる花たち。極寒の冬を乗り越えて、去年の場所で今年も出会うことが出来ますように・・・。